**LTE(Long Term Evolution)**は IoT用途に合わせて進化し続けているモバイル通信規格です。
3GPPが定める複数のLTEカテゴリがある中で、どの規格を採用すべきかは、用途や要件によって異なります。
最初に考慮すべき5つの要件
- 通信速度
- デバイス単価
- 消費電力
- 通信エリア(カバレッジ)
- 長期稼働(製品寿命)
多くのIoTデバイスでは、低コスト・低消費電力・長寿命が重要視されます。
その要件にマッチするのが、LPWA(Low Power Wide Area)技術である NB-IoT や LTE Cat M1 です。
NB-IoT:幅広い用途と高可用性
NB-IoTは、非常に狭い帯域幅を使用するため、低コストでのデバイス開発が可能です。
用途例:
- アセットトラッカー
- ペットトラッカー
- スマートメーター
- 農業センサー
通信速度(Release 14)
- 下り最大:120 kbps
- 上り最大:160 kbps
バッテリー寿命は最大10年。以下の機能で省電力運用を実現します:
- eDRX(拡張間欠受信)
- PSM(省電力モード)
- RAI(RRC Inactive)
モバイルキャリアは既存のインフラでNB-IoTを提供可能なため、世界中で広く普及しています。
グローバル展開が必要なIoT製品にも最適です。
LTE Cat M1:高速性とVoLTEに対応
Cat M1は、最大1 Mbpsの通信速度と低遅延を求めるIoT用途に向いています。
また、**VoLTE(Voice over LTE)**にも対応可能。
移動体(モバイル)用途には、Cat M1の方がNB-IoTより適しています。
比較項目 |
NB-IoT |
Cat M1 |
通信速度 |
~160 kbps |
~1 Mbps |
電力効率 |
高 |
中程度 |
モビリティ |
制限あり |
高い |
VoLTE対応 |
非対応 |
対応 |
Roaming |
可 |
可 |
→ 世界中のCat M1/NB-IoTネットワークマップ:GSMA IoTマップ
通信キャリアの技術要件にも注意
通信キャリアは、それぞれの規格に対応バンドと性能要件を定めています。
例:AT&Tの要件
- NB-IoT端末は Band 12とBand 24 の両方をサポートする必要があります。
- **TRP(総放射電力)とTIS(総等方感度)**が一定基準を満たす必要があります。
要件例 |
小型デバイス(107mm以下) |
標準デバイス(107mm以上) |
アンテナ効率 |
-8 dB でも許容 |
通常要件 |
さらに、Cat M1/NB-IoTは1本のアンテナで通信可能。
これは、Cat 1以上のLTE規格が2本以上のアンテナを必要とするのに対して、
設計コスト・サイズ面で大きなメリットとなります。
おすすめのアンテナ製品
- LTE, Cat M, NB-IoT, GNSSに対応
- 超小型フォームファクタで、限られた基板スペースに最適
- 高性能・特許取得済み
- 全セルラー周波数(600–6000 MHz)対応
- 5G/4G/3G/2G, Cat M, NB-IoT, Wi-Fi, ISMバンド(920MHz帯)を1本でカバー
- “貼って使える”フレキシブルアンテナ(120×20 mm)
- プラスチック筐体やガラス面への貼付けに対応
まとめ:用途に応じた規格選定が鍵
用途例 |
推奨規格 |
屋外設置型トラッカー |
NB-IoT(低電力・長寿命) |
移動体向けIoT(物流など) |
Cat M1(高モビリティ) |
音声機能付きIoT機器 |
Cat M1(VoLTE対応) |
世界展開前提の製品 |
Cat M1 / NB-IoT(ローミング可) |