最高クラスのGNSSおよびセルラーアンテナであっても、それらの性能を損なうような統合設計では本来の力を発揮できません。ここでは、Taoglasのエンジニアが最適化を支援してきた実際の製品に基づき、デバイス設計時に避けるべき4つの主な落とし穴をご紹介します。
基板(PCB)のサイズが小さすぎる、形状が不適切
問題点:小型かつ不規則な形状のPCBは、資産トラッカーやウェアラブルなど多くのIoT製品において避けられない課題です。パッチアンテナを不規則な形状のPCBや十分なグラウンドプレーン面積が確保されていないPCBに搭載すると、電流の流れが乱れ、軸比(Axial Ratio)などの重要パラメータに悪影響を及ぼします。特にPCBの隅にパッチアンテナを配置すると、最適なグラウンド電流が妨げられ、性能が不安定になります。
一方、チップアンテナはPCBのグラウンドプレーンを共振構造として利用しているため、グラウンドプレーンが小さすぎると効率や帯域幅が著しく劣化します。
解決策:パッチアンテナでもチップアンテナでも、最適な性能を得るためには、アンテナのインテグレーションガイドに記載されたグラウンドプレーンのサイズと形状を厳守して設計しましょう。例えば、TaoglasのWLA.04では、PCBの長辺中央に配置し、90×50mmの最小グラウンドプレーンを推奨しています。
関連情報:「PCB上のアンテナ配置がチップアンテナの放射性能にとって重要な理由」
「セルラーおよびGNSSデバイスにおけるグラウンドプレーンの理解」
キープアウト領域不足および金属との近接
問題点:アンテナが他の部品、金属シールド、バッテリーなどに近すぎると、チューニングが狂い、信号が遮断されます。このように適切な“キープアウト”エリアを確保していないことが、性能劣化の大きな要因となります。
解決策:アンテナのインテグレーションガイドを遵守し、十分なキープアウトエリアを確保してください。例えば、Taoglasではバッテリーから20mm以上離すことを推奨しています。また、ネジ、ケーブル、銅配線なども放射信号を劣化させるため、考慮する必要があります。
スペースが限られている製品(例:ペットトラッカー)では特に困難ですが、そのような場合は、性能要件を満たす中で最小のアンテナを選定することが重要です。例として、TaoglasのPCS.62.Aアンテナは、わずか38×10.3×3 mmで、設計の柔軟性を高めます。
関連情報:「PCBの性能を最大限に引き出すためのトップTips」
エンクロージャによるパッチアンテナの干渉
問題点:パッチアンテナの上に筐体が密着して配置されると、誘電ギャップが生じてチューニングが狂い、共振周波数がずれて利得が低下します。
解決策:メカ設計の際は、アンテナ放射部とエンクロージャの間に2mm以上のエアギャップを確保するよう、インテグレーションガイドに従ってください。フォームファクタが固定されている場合は、カスタムアンテナが唯一の選択肢となることもあります。
例えば、Absolute Cycling社の「The One」サイクリングコンピュータ向けに、Taoglasが開発したカスタムフレキシブルGNSSアンテナ「FXP614.A」は、高い傾斜・高度精度などの厳しい性能要件に対応する唯一の手段でした。詳細は「カスタマイズされたGNSSアンテナが『The One』の設計と高性能の両立を実現」をご覧ください。
伝送ラインの不整合
問題点:50Ωに整合されていない不適切な伝送ラインを使用すると、信号反射によって大きな電力損失が発生します。これは設計時に見落とされがちな問題です。
解決策:インピーダンス整合により、送信機から供給されるすべての信号をアンテナが効果的に送信できるようになります。これによりバッテリー寿命も向上します。信号の反射による無駄な電力消費がなくなるためです。
セルラー通信においては、インピーダンス整合はFCC認証や各モバイルネットワークオペレーターの認証取得にも重要な要素となります。