Lバンドとは?
ここでいう「Lバンド」は、1525MHz〜1560MHzの周波数帯域を指し、一般的なGNSSのL1(1575.74MHz)やL2(1246MHz)とは異なる点に注意が必要です。
Lバンドは、PPP(Precise Point Positioning)技術を用いた補正データを衛星から送信し、GNSS精度をセンチメートルレベルまで高める役割を担います。
RTKとの違いは?
比較項目 |
Lバンド補正 |
RTK(リアルタイムキネマティック) |
補正データ送信 |
衛星からのブロードキャスト |
地上局からのインターネット経由 |
通信要件 |
モバイル通信不要 |
モバイルネットワーク必須 |
精度 |
数センチ~10cm程度 |
サブセンチメートル精度 |
導入コスト |
低〜中程度 |
高め(基地局・通信費) |
カバレッジ |
グローバル(Lバンド受信可能範囲) |
基地局の近距離範囲 |
Lバンドは、セルラーネットワークが不安定な農業・鉱山エリアでも有効です。一方で、RTKは高精度ですが、通信環境の整備や端末コストが課題になります。
どのような用途に最適?
例:精密農業
- 収穫時に得られる収量マップを元に、肥料や種子の適量散布を実施
- 数cm〜10cmの精度があれば、十分なコスト削減と生産性向上が可能
- → Lバンドの補正サービスが価格と精度のバランスに優れる
設計における注意点
Lバンドを活用するためには、GNSSモジュールとアンテナの両方がLバンドに対応している必要があります。
- 対応していない場合、モジュールまたはアンテナの再設計が必要
設計変更は、製品価格・開発期間・市場投入時期に大きく影響
おすすめのアンテナ製品
- アクティブ外付けアンテナ(マグネットマウント)
- Lバンド専用
- ローノイズフィギュア設計で早期衛星補足(Time to First Fix)を実現
- 高い帯域外除去性能により、近隣周波数からの干渉を防止
- 組込用アクティブパッチアンテナ
- LNAとSAWフィルター内蔵で帯域外ノイズを抑制
- 精密GNSS用途におけるセンチメートル精度を実現可能
- GPS L1/L2、Galileo、GLONASS、BeiDou、Lバンド対応の多機能アンテナ
- マグネットマウント + パッチ設計
- RHCP(右旋円偏波)に最適化 → 空が見えない環境でも高性能
なぜパッチアンテナが有効か?
Lバンド信号は**右旋円偏波(RHCP)**で送信されます。パッチアンテナはこれに最適化されており、信号損失を抑え、安定した受信が可能です。
また、地面や金属筐体に貼り付けた場合でも、リニア偏波のアンテナと同等以上の性能を発揮できる点が、設置自由度を高めます。
まとめ:精度 × コストの最適解
- RTKほどの精度は不要だが、標準GNSSでは不十分
- 通信のない環境でも高精度測位を実現したい
- 製品価格と性能のバランスを重視したい
→ そのすべてを叶えるのが、Lバンド補正サービス + 対応アンテナの導入です。