アンテナは大きく分けて**ナローバンド(狭帯域)とワイドバンド(広帯域)**の2種類に分類されます。名前が示すとおり、カバーする周波数の範囲に違いがありますが、選定にはアプリケーションや設置条件も大きく関わってきます。
ナローバンドアンテナとは?
- 周波数範囲:狭い帯域をカバー
- データ容量:小さい
- 干渉耐性:高く、ノイズの影響を受けにくい
- 用途:省電力かつ長距離通信が求められるIoT(例:NB-IoT)、FRSなどの無線通信
- 公共安全での利点:単一の帯域に最適化することで高効率を実現。干渉の少ない環境下で安定性が高い
ワイドバンドアンテナとは?
- 周波数範囲:広い帯域をカバー(例:450MHz〜6GHz)
- データ容量:大きい
- 干渉耐性:やや低く、設置環境によって影響を受けやすい
- 用途:5GやWi-Fiなど、高速データ通信が必要なアプリケーション
- 公共安全での利点:複数の通信サービス(FirstNet、Wi-Fi、衛星など)を同時利用可能。設置の柔軟性が高い
キーポイント比較
項目 |
ナローバンド |
ワイドバンド |
周波数利用 |
狭い帯域に特化 |
広帯域をカバー |
通信品質 |
干渉が少なく安定 |
複数のサービスを同時対応可能 |
設置環境への適応性 |
限定的 |
幅広い設置条件でパフォーマンスを維持 |
音声品質 |
通常レベル |
高忠実度(Hi-Fi)音声が可能 |
利用事例 |
無線トランシーバー、NB-IoT |
公共安全通信、MEOC、車載対応など |
アンテナ選定の実例:Cole郡緊急対応チーム
米国コール郡の**緊急対応チーム(ERT)が新たに導入したモバイル緊急運用センター(MEOC)**では、次の要件が重視されました:
- FirstNet(公共安全LTE)への接続
- セルラー通信、衛星通信、Wi-Fiなどの多様な通信手段の同時利用
- すべてのアンテナを車両の屋根に設置
この要件を満たすため、設計・構築を担当したPEAKE社は、タオグラス MA995 カスタムワイドバンドパネルアンテナを採用。
- 8×5G/4G MIMOアンテナ + GPS/L1/L5用アンテナ
- わずか148×134×20.5mmの世界最小9-in-1アンテナ
- 車両の天井裏やリアウィンドウなど狭所設置に最適
製品紹介:タオグラス製アンテナ
- 450MHz〜6GHzのワイドバンド対応
- 5G、4G、Wi-Fiなどを1本でカバー
- 屋外設置における高信頼性と汎用性
- 公共安全向け無線通信に最適化
- 効率重視の単一帯域設計
- 干渉に強く、安定した通話・通信品質を実現
ISA.06
- プラスチック面設置に最適な調整済ワイドバンドアンテナ
- 隠ぺい設置にも適しており、覆面捜査車両や業務車両などにも最適
アンテナ選定時のアドバイス
最終的な判断には、デバイスの無線モジュールの構成が重要です。
例:Semtech社のAirLink XR90は、数十の3G〜5G帯域に対応し、1つのRFポートで複数バンドをサポート。→ ワイドバンドアンテナが適切。
まとめ:状況に応じた最適な選択を
- 1つの通信帯域に集中し、干渉を回避したい → ナローバンド
- 複数の通信手段を同時確保したい → ワイドバンド
導入の目的や設置環境に応じて、最適なアンテナを選ぶことが、公共安全アプリケーションの信頼性と柔軟性を左右します。