5Gセルラー通信では、これまでの世代よりもはるかに多くの周波数帯が使用されています。その理由のひとつは、4Gの周波数帯だけでは、膨大な消費者およびビジネスの需要に対応する十分な帯域幅が確保できないためです。
この需要の多くは高速化への期待によるもので、それがもう一つの理由に繋がります。多くの新しい5G周波数帯は4Gよりも高い周波数であり、高い周波数はより高いデータレートをサポートします。
そのため、5Gはこれまで4Gでは困難または不可能だったアプリケーション、たとえば住宅ブロードバンドや企業の支店向けに光ファイバーやケーブルと競合するような用途にも対応できるようになりました。これにより、デバイスOEMやシステムインテグレーターにとっても新たなビジネスチャンスが生まれます。
ここでは、新しい周波数帯が速度、屋内外カバレッジ、オペレーター対応などにどのような影響を与えるかについて紹介します。
アップスケールスペクトラムとは
高周波の新しい5Gスペクトラムは、以下の2つのカテゴリーに分けられます:
- Cバンド(3.7GHz~4.2GHz):これは従来のセルラーバンド(例:800MHz、1.9GHz)と、約24GHzから始まる高周波5Gバンドの間に位置するため、「ミッドバンド」と呼ばれることもあります。
- ミリ波(mmWave)バンド(24.25GHz~43.5GHz)
それぞれの速度は、チャネル帯域幅、MIMOアンテナの構成、キャリアアグリゲーション、信号強度などにより異なりますが、いずれも非常に高速です。たとえば、企業キャンパス環境ではCバンド5Gが5Gbps超を提供可能で、4KビデオのバックホールやCADファイルのクラウドバックアップなど、帯域幅を多く消費するアプリケーションにも十分対応できます。
Cバンドおよびミリ波は「ウルトラワイドバンド(UWB)」と呼ばれることがあります。これは、Verizonが自社のCバンドおよびミリ波サービスのマーケティング用語として使用している名称ですが、業界でも広く使われるようになっています。(比較として、T-Mobileは同様のネットワークを「Ultra Capacity(UC)」と呼んでいます。)ただし、これはApple AirTagのような近距離センシング用途で使用されるウルトラワイドバンド技術とは異なりますので、混同しないよう注意が必要です。
UWBに対応すべきか?
ワイヤレス技術全般に言えるルールとして、周波数が高くなるほど信号の到達距離は短くなります。つまり、Cバンドやミリ波サービスは、同じ面積をカバーするのにより多くの基地局を必要とします。そのため、通信事業者はコストを回収するために、Cバンドやミリ波の展開を見込める顧客数が多いエリアに集中させています。
たとえば、Cバンドは都市部や郊外の住宅向けブロードバンド(固定無線アクセス/FWA)に使われることが多く、地方では展開が限定的です。
これは、デバイスOEM、システムインテグレーター、そして企業ユーザーにとって重要なポイントです。Cバンドやミリ波がもたらすマルチギガビットの高速通信が真に活用されるのは、人口密度の高い都市部だからです。
実際、Verizonはスタジアムやアリーナのように多数のデバイスが密集する場所に展開を集中しています。同社によれば、「一部の都市では、スタジアムが唯一の5G Ultra Wideband提供エリアとなる場合もあります。」
とはいえ、このような限定的なカバレッジでも、特定のOEMやインテグレーターにとっては大きなビジネスチャンスです。たとえば、デジタルサイネージや監視カメラを製造・設置する企業であれば、これらのアプリケーションにおいて、光ファイバーやWi-Fiの代替としてCバンドやミリ波を採用できる可能性があります。
導入の始め方
Cバンドやミリ波といった新しい周波数帯を使用するには、デバイス設計に新たな配慮が必要です。携帯通信に長けたOEMであっても、これらのバンドには学習が必要です。
そのため、多くのOEMと協業しCバンドやミリ波への展開を支援してきた経験を持つパートナーと協力することが重要です。
たとえば、高周波数帯では屋内カバレッジがより困難になるため、リンクバジェットを確保できるアンテナシステムの選定が不可欠です。
タオグラスは5年以上にわたってCバンドおよびミリ波アンテナをリードしてきました。たとえば、MixCommと共同開発したスマートアンテナサブシステム「Taoglas KHA16.24C」は、26.5~29.5GHz帯をカバーし、家庭用・企業用CPEデバイスに最適です。
また、タオグラスは、ミリ波アプリケーション向けにアンテナアレイ、ビームフォーマーRFIC、マルチレイヤーPCBの設計と最適化を支援するエンジニアリングサービス「CSA.52」も提供しています。
5G Cバンドおよびミリ波対応デバイス向けのアンテナやサービスに関する詳細は、https://www.taoglas.com/jp/contact-japan/をご覧ください。