毎週70万人以上が完全自動運転ロボタクシーを利用しています。一方で、完全自動運転の大型トレーラーはダラス、ヒューストン、その他の主要都市間で貨物を輸送しています。
自動運転車アプリケーションを実現するうえで人工知能(AI)は中核的な役割を担いますが、AIの性能は入力されるデータの質に依存します。そこで重要になるのがGNSSです。GPS、Galileo、GLONASS、BeiDouといった衛星コンステレーションは、安全性と効率性を最大化するために必要な測位・航法・時刻情報(PNT)を提供します。
GNSSは人間が運転する車両においても同様に重要です。トラック、バス、乗用車では、ターンバイターンナビゲーション、ルート最適化、ジオフェンシング、アセットトラッキング、フリート管理など、多様な用途でPNTデータが活用されています。
これらすべてのGNSS駆動型輸送アプリケーションに共通する要素がアンテナです。本記事では、アンテナ選定時に考慮すべき仕様や機能、そして効果的な統合方法について解説します。
「ほぼ正確」では不十分
標準GNSSの精度は約5〜10メートル(16〜32フィート)ですが、時速70マイル(約113km)で走行する車両は1秒未満でその距離を進みます。そのため、トラックプラトーニングなど多くの輸送アプリケーションではセンチメートル級精度を実現するGNSS補正サービスが必要になります。
補正サービスはGNSS精度を低下させるさまざまな要因を補正します。GNSS信号は地上に到達する時点で非常に弱く、大気の影響を受けやすい特性があります。さらに地上では樹木や高層建築物によって減衰が進み、受信機に届く信号品質が低下します。
補正サービスの一種がDifferential GNSS(DGNSS)です。地上基準局が衛星信号を補強する位置情報を送信し、センチメートル級精度を実現します。その代表例がRTK(Real-Time Kinematic)で、補正データ受信にはサブスクリプション契約とセルラー接続が必要です。
価格重視の輸送用途では、Lバンドサービスが代替案となります。衛星経由で補正データを送信するため、セルラーモジュールや通信契約が不要です。近年では多くのGNSS受信モジュールがLバンド(PPP:Precise Point Positioning)に対応しています。ただし、Lバンド信号もGNSS信号同様、樹木や高層建物による減衰の影響を受ける可能性があります。
アンテナタイプと重要な検討事項
弱い信号環境では、アプリケーションの可用性・信頼性・耐障害性・性能要件を満たす適切なGNSSアンテナシステムの選定が極めて重要です。アンテナ設計と受信機およびデバイス全体との統合は、以下に直接影響します。
- 信号強度と感度:高利得アンテナは厳しい環境下でも受信性能を向上させます。
- TTFF(初回測位時間):信号取得が速いほど、ナビゲーションなどのアプリケーションへ迅速にPNTデータを提供できます。
- マルチパス低減:都市部での反射による誤差を低減します。
- 干渉除去性能:5Gなど隣接帯域からの不要信号をフィルタリングします。
主なアンテナタイプ
パッチアンテナ
輸送用途で一般的。車両ルーフなど常に上向きで空が見える環境に適しています。最適性能にはグラウンドプレーン(多くの場合は車両ルーフ)が必要です。
クアッドヘリックスアンテナ
指向性を持ち、主に上向き設置だが姿勢変動がある用途に適します。マルチパス除去性能に優れ、都市型用途(バスや配送車)に有利です。グラウンドプレーン不要であるためドローン用途にも適しています。
アクティブアンテナ
内蔵LNAにより弱い信号を増幅します。輸送用途ではパッシブ型より一般的です。
数の力
複数のGNSSコンステレーション対応は輸送用途で有利です。例えば北緯55度以上ではGPS衛星の仰角が45度までしか上がらず、可視性が制限されます。GLONASSやGalileo対応モジュールとアンテナを使用すれば、高緯度でのカバレッジを向上できます。
マルチコンステレーション対応は軍用車両など多地域展開用途でも有効です。また、妨害やスプーフィング対策としても有効です。
マルチバンド対応も重要です。L1、L2、L5をカバーするアンテナは精度と耐障害性を向上させます。
RTK用途では位相中心安定性(Phase Center Stability)を備えたアンテナを選定してください。
輸送グレードアンテナとは?
車両は10年以上にわたり、極端な温度変化、紫外線、雨、振動、衝撃にさらされます。アンテナも同等の耐久性が求められます。
以下の仕様を確認してください:
- IP等級(防水・防塵性能)
- 振動耐性
- 耐候性
- 耐衝撃性
外部アンテナの場合、ケーブルやコネクタも堅牢仕様であることが重要です。