5Gは、最大20Gbpsの高速通信と1ミリ秒以下の超低遅延により、固定系・移動系を問わず、あらゆるアプリケーションに対応できるネットワーク技術です。
しかし、すべてのアプリケーションがそこまでの高性能を必要とするわけではありません。
そこで登場したのがRedCap(Reduced Capability)。
3GPP Release 17で規格化されたRedCapは、5G New Radio (NR) の軽量版として、
- 費用対効果
- 長期運用性
を両立する設計となっています。
RedCapが最適な用途例
- フィットネストラッカー
- 医療用ウェアラブル
- スマートメーター
- 産業用センサー
いずれも、数年以上にわたって安定稼働が求められるIoT機器です。
RedCapがIoTに適している理由
バッテリー寿命最適化
- **ディスコンティニュアスレセプション(DRX)**機能により、端末は一定時間ごとにスリープし、省電力を実現
- DRX周期は約10秒〜最大3時間と柔軟に設定可能
5G基準の将来性
- RedCapは最新の5G標準に準拠しており、4G LTEに比べ高い将来保証を確保
- 実態としては、LTE Cat 1〜Cat 4と同等の通信要件(例:スループット100Mbps未満)を満たします
シンプルで低コストな設計
- RedCap端末は、フル5G端末に比べて回路設計が簡素
部品コスト(BOMコスト)を削減でき、低価格IoTやハイエンドデバイス(例:高級スマートウォッチ)の収益性向上にも寄与
eRedCapとは?さらに低消費電力を実現
**Enhanced RedCap(eRedCap)**は、3GPP Release 18で登場したさらに軽量版。
- 下り・上りともに10Mbpsのスループットに制限
- これにより、さらに消費電力とコストを削減可能
特に、省電力を最重視するIoT用途に最適です。
アンテナ統合と実装におけるポイント
RedCapはアンテナ数が少ない
- フル5G端末では4本のアンテナが必要ですが、
- RedCap端末では2本、eRedCapでは1本のみ
- uplink MIMO(送信側多重)非対応、downlink MIMO(受信側多重)はFR2帯域のみ必須
これにより、設計・統合が容易であり、端末の小型化にも貢献します。
LTE経験を活かせる
- LTE製品で培ったアンテナ設計・統合ノウハウを、そのままRedCapに応用可能
LTEとRedCapの周波数帯はほぼ同じ(※5Gのみ2.7GHz以上の追加バンドあり)
オペレーター対応状況と認証要件
- 2024年6月:AT&Tがスタンドアロン5GネットワークでRedCap対応開始
- 2024年10月:T-MobileがRedCap端末販売開始
RedCap/eRedCapは、CBRS帯などでプライベートネットワーク展開も可能です。
また、LTE/5G同様、各国キャリアはアンテナ効率要件を設定しています:
- 低帯域(617〜894MHz):32%以上
- 中・高帯域(1GHz以上):50%以上
(※TRP/TISなどの詳細については、「Why Cellular Pre-Certification is Critical」をご参照ください)
まとめ:RedCapとeRedCapが切り拓く新たなIoT接続の世界
項目 | RedCap/eRedCapのメリット |
消費電力 | 大幅に低減 |
デバイスコスト | BOM削減による低価格化 |
実装負荷 | アンテナ本数削減による小型・簡素化 |
将来保証 | 最新5G標準に準拠 |
RedCapとeRedCapは、コスト重視・省電力志向のIoT製品に新たな選択肢を提供します。
ただし、新技術ゆえに、設計・統合・キャリア認証には専門的な知見が求められます。
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